『蝶々夫人』も谷本さんにとって大切な舞台だ。とはいえ、ヒロインの蝶々夫人はソプラノが担当する役。彼女が演じるのは、侍女スズキだ。

「蝶々さんと同年代の女性で、ずっと舞台上にいる役なんです。だから蝶々さんの哀しい想いやつらい境遇を知っているし、同時に世間が彼女をどう見ているか、事態がどう進んでいるのかも全部知っている。脇役ではあるけれど、スズキがいなかったらストーリーも成り立たないくらい難しい役です。去年演じたのですが、体力的にも精神的にも鍛えられました」

 谷本さんの好演はメディアにも取り上げられ、高く評価された。2月と3月にもスズキを演じる公演予定があり、ブラッシュアップして臨むつもりだ。

「もっともっとディープなところまで掘り下げて、じっくり取り組める役だと思うんです。あとから〝谷本綾香はスズキ役で有名になった〟と言われるように、頑張りたいです」

  • 出演:谷本綾香(たにもと あやか)

    1987年三重県伊賀市生まれ。2005年英国王立音楽大学声楽専攻に入学。2011年英国王立音楽大学大学院を修了。2012年より王立スコットランド音楽院オペラ研修所に在籍。ロンドンのオペラ・ホランドパークやフランスのオペラ・ドゥ・ボージェの専属オペラ歌手として活躍するほか、コンサートやリサイタル公演に精力的に取り組んでいる。

    オフィシャルサイト  http://www.ayakatanimoto.com/

    出演公演日程

    2月13、18日&4月9、13日(Secret Opera)
    http://www.secretopera.com/butterfly

    3月12、14、16、18、20日 (Bury Court Opera)
    http://burycourtopera.org/index.php/articles/madama-butterfly

    6月〜8月まではロンドンのオペラ・ホランドパークで出演中

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/