#3 どうする、自分?
ベンチの女 遠藤久美子
- Magazine ID: 2558
- Posted: 2015.09.02
フリーになって、遠藤さんは歩き回れる自由を手に入れた。けれど自由は、守ってくれるものを失う、ということでもある。
「そうなんです。自由を実感したと同時に、広い砂漠にぽつんと取り残されたような。どこに行ったらいいのかわからなくなりました。マネジャーもいない、誰もいない、〝どうする自分?〟みたいな。自分がこうなりたい、と思うところに行くために辞めたのに、辞めたらさらに、目的地は遠くなっていたんです」
そうまでして本当にやりたかったこととは?
「お芝居をやりたかったんです」
そういえば遠藤さん、ドラマや映画にも出演していたけど、バラエティ番組での活躍が印象に残る。ところが彼女の中では、本格的に女優という仕事に取り組みたいという思いが、日増しに大きくなっていた。
「24歳のとき初めて舞台に立って、そのとき〝舞台ってこんなに面白いんだ!〟って思ったんです。初舞台ですから芝居は全然できなかったんですよ、〝え!どっちに歩くの?〟みたいな(笑)。でも目の前のお客さんが笑ったり泣いたり、ときには罵倒する声まで飛んできて、その瞬間の生の声が耳に届くのが、すごく面白いなと思って。もっとお芝居をやりたい!って、あの時からずっと、思い続けていたんです」
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出演:遠藤久美子(えんどう くみこ)
1978年、東京都生まれ。1995年マクドナルドのCMで注目を浴び、ドラマ、バラエティ、声優など幅広く活躍。『人気者でいこう!』(テレビ朝日系)『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ系)にも出演し、天然キャラで人気を博した。2012年より本格的に女優業をスタートした。
舞台『三匹のおっさん』
2015年9月4日(金)~27日(日) 明治座
人気作家・有川浩の連作短編小説を舞台化した人情喜劇。出演は松平健、中村梅雀、西郷輝彦、竹下景子ほか。遠藤久美子さんは松平さん演じる清田清一の息子の妻役。竹下景子さんと嫁姑バトルを演じるという。明治座の後、名古屋、大阪、博多、広島、髙松で公演の予定。オフィシャルサイト https://www.toho-ent.co.jp/actress/profile.php?id=7615
スタイリスト:乙坂知子
衣装クレジット
カットソー、スカート/ローテック☎︎03-5456-6240
ネックレス/アーヴェル・シュシュ☎︎03-5456-6240ヘアメイク:SHIGE
オフィシャルサイト http://www.hkprod.com/h-bbb/shige/
取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://www.haginiwa.com/