この連載で写真を撮っている萩庭桂太というフォトグラファーは、TwitterやFacebookでやたらといろんなことをぼやいている。矛先は日本の政府や政治家のおとなげない行動である事が多い。

 中身はTwitterやFacebookでご確認いただきたいが、よくよく聴いていると普段から、この人のぼやきはたいがい、「ふざけんなよ」で、自己完結して終わる。私はなんと相づちを打てばいいのかわからないので口元だけで笑っている。その昔、下町の商店街にはいつもステテコ姿で怒っているおっちゃんがいたものだ、と思い出しながら。

 そんな萩庭桂太であるが、撮影するときだけはいつも楽しそうである。当たり前だろう。それすら不機嫌になるようになったら、この人は本当にのたれ死ぬ。

「明日は朝10時から相楽樹ちゃんという新人の女優を撮るんだけど、森さんは何時に来られます?」

 私はその日、午前中に、締め切りを引き延ばしてもらっているタレント本の重たい打ち合わせがあり、午後から合流することにした。

「撮り終わった頃にインタビューに行きますから、事務所でもいいですけど」

「了解です」

 メールでやり取りしていると今度は「外苑前あたりでインタビューにしますか」と返ってきた。はっきりしてくれい、と、とりあえず渋谷待機していると「いや、今から代々木公園で昼寝します」と来た。

 なんなんだいったい。ふざけんなよ!

 結局、インタビューはまた外苑前のロイヤルガーデンカフェ集合に落ち着いたのであった。

  • 出演:相楽樹

    1995年埼玉県生まれ、O型。テレビ朝日のドラマ『熱海の捜査官』で本格デビューし、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』にも出演。2012年12月12日~24日、新宿・サンモールスタジオで公演する劇団競泳水着の『すべての夜は朝へと向かう』に出演。2013年1月26日から全国ロードショーされる利重剛監督作品『さよならドビュッシー』にも出演する。
    公式ブログ http://ameblo.jp/sagara-itsuki/

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太