こんなに若いのに、もう芸歴20年。
「女優業は私、14歳頃からやっていて、今34歳なので、20年やっているんです。その数字に自分でもびっくりしてしまうんですけど(笑)」
 スカウトされて、当初は撮影現場に行っても台詞ひとつだけ、そこにいるだけ、の仕事が多かったけれど、16歳のとき、急に大きな役が回ってきた。
「あるバンドのプロモーションビデオで、デビュー曲を1時間のドラマに仕立てて、ヒロインの16歳から26歳までを演じるというお仕事だったんです。でも私にできたのは、なんとか台詞を覚えることだけ。演技なんて何もできなくて、自分が今ここで何をやっているかもわからない。本当にもう、へたっっっっくそ過ぎて、そのときの自分の恥ずかしさといったら!(笑) そのとき、こんなにお芝居って難しいのかって、悔しくて悔しくて」
 以来、むさぼるように映画やドラマを見始め、女優という仕事に夢中になった。
「保育園からずっと、私はいつか保育士になるんだって決めていたんですけど、その経験以来、お芝居が急に楽しくなって、高校を卒業したら女優で1本、と決めました」
 そこからは順調に、キャリアを積んできた。
「でも10代、20代は自分の実力だけではない、ですよね。まわりに用意してもらったステージがすごく多かった。それはチャレンジであり、チャンスであり、もちろん何もわからないまま『行きます!』みたいな感じで頑張りましたけど。20代後半くらいから、そのステージは少なくなるんです。まわりの女優の先輩たちからも、『30代の女優はキツイよ』って聞いていましたし。前と同じやり方では、前に進めなくなるんですね」
 そんな最中、西原は26歳で結婚、27歳で出産。そして子育て2年目で、離婚を経験した。
「もう、どん底。子育ては本当に大変で、この先どうしよう? って、気持ちがぐちゃぐちゃになっていました。でもそこから、すごく大きな変化があったんです。私自身、大きく変わることができたし、子どもとの関係もガラッと変わりました。つい最近、縁あって再婚したんですけど、家族3人でいるときも、彼とふたりのときも、娘とふたりのときも、自分ひとりのときも楽しいんです。どんな状況でもすべて楽しいって思える、こんな自分になれるなんて、あのどん底時代の自分に教えてあげたいなって(笑)」
 いったい何があって、こんな劇的な変化を体験したのだろう?
 今週のYEOは、西原亜希の人生のターニングポイントをクローズアップ。金曜日まで連日更新するこの記事を読むうちに、読んでいるあなたの人生も、良い方に変わっていく、かもしれない。

  • 出演 :西原亜希  にしはら あき

    1987年生まれ。中学1年生のとき原宿でスカウトされ、2003年ドラマデビュー。2004年には東日本旅客鉄道(JR東日本)SuicaのイメージキャラクターとしてCMに出演。『花より男子』NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』など数々のTVドラマに出演。最近は日本テレビ系『受付のジョー』にレギュラー出演。

    藤賀事務所 HP/https://www.mh-fujiga.com/artist/nishiharaaki.html

  • 『受付のジョー』/日本テレビ 
    https://www.ntv.co.jp/uketsukenojo/

  • YEOからお知らせ:YEO専用アプリ

    このYEOサイトにダイレクトにアクセスするためのスマホ・タブレット用の無料アプリです。
    とてもサクサク作動して、今まで以上に見やすくなります。ダウンロードしてください。
    iOS版 iOS

    Android版 Android

  •  

    取材/文:岡本麻佑

    フリーライター歴30余年。女性誌、一般誌、新聞などで活動。俳優・タレント・アイドル・ミュージシャン・アーティスト・文化人から政治家まで幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。単行本、新書なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/