今回、イル・ヴォーロの来日にともなうプロモーションには、必ずふたつのトピックが添えられていた。〈ドミンゴ〉と〈羽生結弦〉だ。
 今回のコンサートのタイトルには『時空を超えて三大テノールが甦る』という言葉が添えられていた。イニャッツィオも記者会見でこう言っている。
「今回のコンサートは特に、三大テナーに捧げるコンサートという性格を持っています。これは去年、フィレンツェのサンタ・クローチェ広場で行ったものを再現した内容です。ここで僕たちはプラシド・ドミンゴと共演しました」
 ドミンゴはこの時、こんなコメントを寄せている。
「多くの人がクラシック音楽を聴くようになったきっかけは、ルチアーノ・パバロッティ、ホセ・カレーラス、そして私が歌った『三大テノール』コンサートだった。この3人の青年たちは、私たちの〝思い〟を継いでくれている」
 約3万人の聴衆が、スタンディング・オベイションで彼らを讃えたという。すでに実力も人気も十分な彼らだけれど、三大テノールの元祖が共演、認めたことで、箔がついたのは間違い無い。
 そして日本のフィギュアスケートファンにとって彼らイル・ヴォーロは、羽生結弦が2016~2017年シーズンエキシビジョンで使った「ノッテ・ステラータ 星降る夜(スワン)」を歌ったアーティストとして、知られた存在。羽生クンは、あのロシアの超有名なフィギュアスケートコーチ、タチアナ・タラソワさんから「あなたのためにあるような曲、ぜひ使って欲しい」と言われてこの曲をプレゼントされたとか。銀盤の上、この曲をバックに滑る羽生クンは、まさに白鳥そのもののように見えた。
 そして先週末、11月29日と12月1日に行われたイル・ヴォーロ日本初公演は大成功!彼らの魅力が十分に伝わった今、イル・ヴォーロを説明するときに、ドミンゴや羽生クンの話題は、もう必要ないかもしれない。
 次に来日するときは、「あのイル・ヴォーロが~」で話が通じるようになっているはずだ。

  • 出演 イル・ヴォーロ:

    イタリア男子3人組のヴォーカル・トリオ。ジャンルカ・ジノーブレ(Gianlica Ginoble・22歳)、ピエロ・バローネ(Piero Barone・24歳)、イニャツィオ・ボスケット(Ignazio Boschetto・23歳)の3名で構成。オペラのアリアからポップスの名曲まで絶妙なテノールで歌いあげる。ヨーロッパ、ラテン・アメリカ、アメリカ公演はすべて大成功している。
    オフィシャルサイトhttp://www.tate.jp/concert/IL%20VOLO/concertgilvolo.html

    【新譜情報】
    『グランデ・アモーレ』11月22日日本リリース。2015年にリリースされたこのアルバムは、アメリカのビルボードではクラシカル、ラテン・ポップの2部門で1位、ラテンチャート2位に輝くなど世界各国で大ヒット。日本初回限定盤にはLIVE DVD付き、ボーナストラックも収録。 
     http://www.sonymusic.co.jp/artist/ilvolo/info/487323

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/