「リボンの騎士」で悪役を一手に引き受けているのが、根本正勝さん演じるナイロン卿だ。

「悪役って面白いです。光と影じゃないけど、悪がいないとカッコイイ人たちもカッコ良く見えませんからね(笑)。僕は20代の頃、王子様とか善人とかキレイな役どころが多かったけど、悪い役をやりたいという欲求が強かった。でも自分の顔が邪魔してるって、途中で気付いたんです。当時、誰も僕を悪役で使ってくれる人はいませんでした。その時僕が思ったのは、だったらとことん、良い人役を極めようと。良い人だと思わせておいてそれを裏切った瞬間が、一番の悪になるはずですからね。すると30代に入った頃から、僕を悪役で使ってみたいという人がちょっとずつ出てきたんです。観客からの反応は、やっぱり恨まれたりひどいって言われたり散々でしたけど、それこそ役者としては嬉しくて。ようやく悪人をやれる時が来たんだなって」

 最近は俳優として活躍するかたわら、歌の仕事にも取り組んでいる。

「客席の隅々まで届けたいという思いが強くなって、役者としての表現力も上がったと、自分で感じます。若い頃は自分が芝居したい気持ちばかり先走って〝俺を見てくれ〟ってね。でも今は、舞台はお客さんひとりひとりと一期一会なんだって気が付いた。一瞬一瞬、大事に演じたいと思っています」

なかよし60周年記念公演 ミュージカル『リボンの騎士』

東京◆11月12日(木)~17日(火)/赤坂ACTシアター 全10公演 大阪◆12月3日(木)~6日(日)シアターBRAVA! 全7公演 出演:生田絵梨花・桜井玲香(ともに乃木坂46)はいだしょうこ ほか。
チケット問い合わせ:キョードーインフォメーション0570-200-888(全日10:00~18:00)
オフィシャルサイト http://www.nelke.co.jp/stage/ribbon-no-kishi/

  • 根本正勝( ねもと まさかず)

    1979年生まれ。2002年頃から『裏切りは僕の名前を知っている』をはじめ数多くの舞台に出演。今年は『SAMURAI7』『ドン・ドラキュラ』、映画『23時59分59秒』などに出演した。中村誠治郎とボーカル・デュオAshを結成、ライブなど音楽活動も続けている。

    オフィシャルブログ http://ameblo.jp/masakazu-nemoto-official/

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/