新潟県新潟市出身の高橋裕二郎選手は、高校時代からレスリングを始めました。小学校、中学校では野球部でキャッチャーだったという高橋少年。しかし、県大会の試合で自分のエラーが原因で敗け、以来ボールを握ることすら儘ならない状態に陥ってしまったそうです。

 高校に進学した高橋少年は、団体種目を避け、球技を避け、レスリングを選びます。

「個人種目で、格闘技がいいと思って。たまたま進学した高校にレスリング部があったということと、柔道部は全員坊主にしなければいけなかったので。レスリング部は髪型自由だったんですよ(笑)」

 おマセなお年頃ゆえ、レスリングの道へ。始めてみると、もともとのめり込む性格ということもあり、飽きずにレスリングに没頭した高橋少年。高校3年生でインターハイに出場したものの一回戦で敗退、ここで持ち前の探究心に火が付きます。

「オリンピックに行くとか全国大会に行くとかではなく、とにかくレスリングに“ハマった”んですね。どうしても『レスリングを究めたい』という気持ちが強くなって、日体大(日本体育大学)への進学を希望しました」

 両親、祖父が入学金、学費、生活費をすべて援助してくれたことで、4年間レスリング中心の大学生活を過ごした高橋選手。しかし最初は練習環境の違いに愕然としたそうです。

「日体大レスリング部は、なにしろオリンピック経験者や全日本・学生チャンピオンがたくさんいるわけですから。でも、格闘技は自分より強い相手と練習することで実力が上がるんです」

 大学4年生で、ついに全日本学生選手権グレコローマン84キロ級王者の座を獲得。華々しい成績を収め、その後もひたすらアマチュアレスリングの道を邁進した高橋選手ですが、大学卒業後に岐路に立つことになります。

 アマチュアレスラーからプロレスラーへの転身。その道は決して平坦ではなかったようです。

  • 出演:高橋裕二郎(たかはし ゆうじろう)

    高校時代にレスリングを始め、日本体育大学に進学。全日本学生選手権グレコローマン84キロ級王者に輝く。03年11月、新日本プロレスの入門テストに合格。04年7月26日、後楽園ホールにおける山本尚史戦で、裕次郎としてデビューする。05年11月からアゴの負傷で欠場していたが、06年3月より戦線復帰。5月7日、ZERO1-MAX(現ZERO1)との対抗戦に抜擢され大活躍する。07年6月には「BEST OF THE SUPER Jr.」に初出場し、同大会優勝者となったミラノコレクションA.T.にリーグ戦で勝利した。08年2月、内藤哲也とNO LIMITを結成。10月13日、両国国技館にて稔&プリンス・デヴィットを破り、第22代IWGP Jr.タッグ王者に就く。12月7日、邪道&外道を相手に同王座の初防衛に成功した。09年、内藤とともに海外遠征に出発。CMLLでルード(悪役)としてブレイクし、ヘビー級へ転向。10年1月4日東京ドーム大会で、ブラザー・レイ&ブラザー・ディーボン、ジャイアント・バーナード&カール・アンダーソンとの3WAYハードコアマッチ戦を制し、内藤と共にIWGPタッグ王者に輝いた。同年2月、リングネームを本名の高橋裕二郎に改名。11年5月26日邪道&外道&田中将斗のコンプリートプレイヤーズ入りを表明。同年6月18日大阪で内藤とシングル対決を行ない、快勝を収めた。
    一方で、下ネタを散りばめたマイク、女性を連れての入場など “R指定”キャラとして活躍。
    14年5月3日「レスリングどんたく2014」でIWGP選手権試合に乱入し、王者のオカダを襲撃。CHAOSを裏切りるかたちでBULLET CLUB入りを表明。
    14年6月29日、後楽園大会で石井の持つNEVER無差別級王座に挑戦し、BULLET CLUBの介入もあり、第4代NEVER無差別級王者となった。同年10月13日、両国大会で、石井の挑戦を受け、激闘末最後は石井の垂直落下式ブレーンバスターの前に沈み、王座から陥落した。

    新日本プロレスリング オフィシャル・サイト
    http://www.njpw.co.jp

  • 取材/文:加藤いづみ

    コピーライター、ディレクター。東京都出身。成城大学文芸学部卒。広告、SP、WEBのコピーライティング、企画、ディレクションのほか、企業のPR誌制作を手がけている。
    https://www.facebook.com/mi.company

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/