一週間のうち、スタジオで子ども達のレッスンを平日3回受け持ち、自分のためのダンスと歌のレッスンにも通い、筋トレをする。踊り続ける日々。でも、目標は単にダンサーではない。

「ヒュー・ジャックマンみたいな役者になりたい。踊って、歌って、演じて、なんでもできる素敵な男になりたい。いろんな役が出来て『あの人はいったい、どれが実像に近いんだろうね』と言われるような演技が出来るようになりたいです。作品の中で、常に違う人生を生き続けられるような」

 彼の運転で、ワルかったという小学生時代から大好きだという相模大野の公園にも連れていってもらった。

「あのジブリのお城みたいな遊具によくよじ上ったんですよ」

 6~7mはあろうかというお城のような壁に、大人になった彼がよじ上っていく。「危ないからもういいよ~」と我々は引き止めるのだがかまわず上る。マネージャーさんも「もし落ちでもしたら」と心配で、思わず声が裏返る。しかし声を掛ければ掛けるほど、よじ上っていく。案の定、降りてきたときは右肘の下あたりに擦り傷を作っていた。すると子どものような無邪気な顔で、大貫は言った。

「洗えば、大丈夫だよ!」

  • 出演:大貫勇輔

    1988年神奈川県生まれ。7歳よりダンスを始め、17歳からプロ・ダンサーとして数々の作品に出演。ジャズ、バレエ、ストリート、アクロバット、コンテンポラリーなど多岐にわたるジャンルのダンスを踊りこなす。ドラマやCMへの出演も多く、昨春、舞台『キャバレー』で藤原紀香の相手役を務め、話題になる。7月11日~15日、東京渋谷Bunkamura オーチャードホールで上演される『ドリアン・グレイ』(マシュー・ボーン演出)で主役を演じる。

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太