あと1年、ニューヨークでの大学生活が残っている。今はすっかり慣れて楽しくなったというが、寂しい時期もあった。

「1人で寂しくて、どうしても猫を飼いたくて。インターネットで猫ばかり見ていたんです。そうしたらものすごく欲しかった種類の、大きな猫を見つけて。その売り主はニューヨークから10時間近くも飛行機に乗るアメリカの田舎に住んでいたんだけど、出かけました。そして往復20時間かけてその猫を連れて帰ってきました。大きいけど、抱くとクタっとなるのがめちゃくちゃ可愛いの!」

 猫の話になると目が輝いて、息せきって身振り手振り。隣りでお母様が「しょうがないわ、まだ子どもなのよ」と笑っていた。

「昔はウサギを飼っていたんだけど、今は猫にウサギの肉を食べさせています」

 うう、残酷だなあ。純粋なお嬢様って子どもの残酷さを失わないものなのかもしれない。かぐや姫みたいに、求愛してくる人には命がけの幻のプレゼントを欲しがっちゃうかもなあ。

「好きなタイプ? たまたま今はボーイフレンドはいないんだけど、変わった人が多いかも(笑)。背が高くて優しくて面白くて親切な人が好き。『キャプテン・アメリカ』のクリス・エヴァンスみたいな」

 スマホで画像を出してくれたが、筋骨隆々の白人男性だった。そこのところ、趣味はアメリカ人なんだ。

 今回の日本滞在では、原宿やダイバーシティ東京で買い物をしたりして日本を満喫した様子。「ごめんね、蕎麦打ちさせて」と言うと、猫のようにきらっと瞳が光った。

「超オモシロカッタ!」

 純粋さを失わないで、まっすぐスターになってほしい気がした。欲しい猫のために、一目散に飛んでいっちゃう、その気持ちのパワーが、何より彼女の才能の源である。

  • 出演:Tiffany

    1990年1月1日台湾生まれ。国籍はアメリカ。アメリカ育ちの台湾マルチタレント。台湾に生まれ、幼少期にL.Aに移住。そこで語学、音楽、舞踏、ファンションを学習。 その後、ニューヨークにあるParsons The New School for Design(パーソンズ美術大学)に入学、主にファッションを学ぶ。 2013年夏に卒業予定。2012-2013年にかけて、台湾にて大規模な芸能デビュー計画がある。

  • 取材・文:森 綾

    大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1500人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には『マルイチ』(マガジンハウス)、『キティの涙』(集英社)(台湾版は『KITTY的眼涙』布克文化)など、女性の生き方についてのノンフィクション、エッセイが多い。タレント本のプロデュースも多く、ゲッターズ飯田の『ボーダーを着る女は95%モテない』『チョココロネが好きな女は95%エロい』(マガジンハウス)がヒット中。
    ブログ「森綾のおとなあやや日記」 http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

スタイリスト:ERI
衣装協力:ピアス ¥4200(acco)、オレンジブレスレット ¥6300(FRYGALLERY/ともにAquvii TOKYO 03-6427-1219)
撮影:萩庭桂太