1 バークリーで生まれた女性連弾ユニット
EIKO + ERIKO
- Magazine ID: 3865
- Posted: 2019.05.20
女性ピアニストふたりの連弾ユニット、『EIKO+ERIKO』。シャープでクール、しかも豊穣、そして繊細な音色は、すっごく新鮮。何度も、エンドレスで聴いていたくなる。
ひらがなで表記すると、「えいことえりこ」。ふたりはバークリー音楽大学に同時期に留学、ルームシェアしていた仲だとか。
エイコ「知り合ったのはバークリーに行く前、準備のために通っていたジャズ教室の先生から紹介されました。〝同じようにバークリーを目指している女子がいるから、ふたりで情報交換したらいいんじゃない?〟って」
ふたり、立ち位置も似ていた。
バークリー音楽大学には入学試験の結果に応じて、奨学金をもらえるシステムがある。成績に応じて、学費が免除される比率が変わる。徹底した実力主義なのだ。ふたりは2014年にオーディションを受け、合格したものの、期待していたほどの奨学金を得られなかった。そこで翌年再挑戦することを誓っていたのだ。
2015年の入試では、ふたり揃ってきっちり実力をアピールしてより多くの奨学金を獲得し、念願の留学を果たしたというわけ。入学後はふたりで、ルームシェアをした。
エリコ「バークリーのあるボストンは、物価が高いんです! 町はすごくキレイだし、ハーバード大学も近くて環境が良いので、当然、家賃も高い。ですからひとりで住むのは無理なので、誰かとルームシェアするほうがいいと、先輩たちからアドバイスされていました。だったら知らない人と住むより、ふたりで住もう、と」
親がかりではなく、自力で果たしたバークリー留学。奨学金をゲットしたとはいえ、生活費はそれまでの貯金を使うしかない。当然、その生活は大変だったようで。
エリコ「最初に住んだのは、2DKのフラットでした。学校からは遠かったですね。駅からも歩いて15分。それぞれ個室があって、リビングがあって。そのリビングに別のもうひとり住んで、なんならさらにもうひとり住んでいたことも(笑)。たぶん一番貧乏なアパートだったんじゃないかな(笑)」
エイコ「学校は24時間空いていて、練習室も夜中12時まで使えるんです。ですから朝行って、夜の10時くらいまで学校に残って練習したり、課題に取り組んでいたり。だから部屋は帰って寝るだけ。食事もお腹に入ればいいやって(笑)」
経済的にも時間的にもギリギリの、この音楽漬けの3年間があったからこそ、ふたりの連弾デュオは生まれたみたい。
今週のYEO、主人公はこのEIKO+ERIKO。お伝えしたいのは、日本の音楽界に新風を吹き込む若き女子ふたりの、今までとこれから。金曜日まで連日更新、お楽しみに!
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出演 :EIKO+ERIKO えいこ+えりこ
名門バークリー音楽大学を2018年に卒業したふたりのピアニストによる連弾デュオ。クラシック、ジャズ、音楽すべての枠を超えて活動中。
ホームページ https://eikoeriko.com/
ツィッターhttps://twitter.com/eikoanderiko
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取材/文:岡本麻佑
国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。
撮影:萩庭桂太
1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
http://keitahaginiwa.com/