30代、40代になっても、いや50代60代になっても現役として続けることができるようになったモデルという仕事。秋本祐希も30代を通して、モデルという仕事に打ち込んできた。
 とはいえ、誰もが長い間続けられる仕事ではない。読者モデルという、読者と等身大のモデルが急増して、モデル人口はかつてないほど増えている中、脱落していく人も多い。30代以降も活躍できるのは、やはり一握りの存在なのだ。
 いったいどんな人が、モデルの世界で生き残っているのだろう?
「どうなんでしょう? うーん」
 しばし考えてから、秋本祐希はこう答えた。
「人間ぽい人が残っているような気がします。何ていうんだろう、偉い人にお世辞を言ったり、うわべだけ取りつくろうような人よりも、ちゃんと自分の意見を言える人。それに、ファッション撮影はやはりみんなで作り上げていくものなので、私が私が、という人よりも、ちゃんと自分の役割を把握して、自分よりも全体のことを考えられる人ばかりです。きちんと挨拶もできて、フラットな感じで誰にでも接することのできる人。子育てしているかどうかは関係なく、人としてちゃんとみんな成長してきているような気がしますね」