藤井道人が映画の世界に入るきっかけになったのは、高校生のときに見た『エターナルサンシャイン』。映画にハマり、近所のTSUTAYAで毎日1本映画を借りては見ていた藤井少年は、とりわけコメディ映画が大好き。ジム・キャリーの大ファンだった。
「そんな頃、急に顔面パンチされたのが『エターナルサンシャイン』でした。なんて面白い映画なんだ、と思って、その脚本が素晴らしくて、それで、脚本コースのある大学に進んだんです」
 以来、映画ひと筋。19歳から今に至るまで、〝映画製作しかしてこなかった〟という。
 この先も、作りたい作品のイメージはたくさんあるらしい。
「『デイアンドナイト』は4年越しでしたけど、6年越しのオリジナル脚本があって、それを早く映画化したいですね。それは日本と台湾の話なので、日本人の女優と台湾人の女優、イメージにあう人を探しています。時代背景が変わらないうちに、撮りたいです。そういう、実現したい映画がいっぱいあるんですよ」
 彼の作る作品がいつか誰かに、顔面パンチみたいな衝撃を、与えるのかも知れない。
 たとえば来月公開の『デイアンドナイト』も。
「この作品は、剣道で言うと、〈突き〉ですね。剣道の試合をしていると、相手は突きなんて打ってこないと、みんなどこかで思っているんです。向かい合って間合いがあって、小手を狙ったり、面を打ったり、胴を打ったり。僕はでもその中で、ズドン、と攻めることができる突きが好きです。『デイアンドナイト』では4年間貯まりに貯まった思いを一気に込めて、突きにでました。突きが一番気持良いんですよ、決まると(笑)」

  • 出演 :藤井道人  ふじい・みちひと

    1986年生まれ。東京都出身。映像作家、映画監督、脚本家。BABEL LABELを映像作家の志真健太郎と共に設立。日本大学芸術学部映画学科脚本コース卒業。脚本家の青木研次に師事。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』でデビュー。以降、『7s/セブンス』などの作品を発表する一方で湊かなえ原作ドラマ『望郷』、ポケットモンスター、アメリカンエキスプレスなど広告作品も手がける。2017年Netflixオリジナル作品『野武士のグルメ』や『100万円の女たち』などを発表。2018年、『青の帰り道』公開中。2019年『デイアンドナイト』『新聞記者』の公開が控える。

    公式HP http://babel-pro.com/about/

  • 【作品情報】
    『デイアンドナイト』
    企画・主演 阿部進之介 監督・藤井道人 プロデューサー・山田孝之
    父が自殺し、その原因を探るうちに復讐へと駆りたてられる明石。その彼に手を差し伸べる北村には、児童養護施設を運営して孤児たちを救う反面、犯罪に手を染める顔もあった。やがて父を自殺に追い込んだ大企業の社員・三宅に明石は対峙するが・・・・。完全オリジナル脚本で〈人間の善と悪〉をテーマに、混沌とした現代で強く生きることの厳しさを描き出す。2019年1月26日全国公開、1月19日秋田県先行公開。

  • YEOからお知らせ:YEO専用アプリ

    このYEOサイトにダイレクトにアクセスするためのスマホ・タブレット用の無料アプリです。
    とてもサクサク作動して、今まで以上に見やすくなります。ダウンロードしてください。
    iOS版 iOS

    Android版 Android

  •  

    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/