見ての通りの美女だけど、今の彼女にその形容詞は意味が無い。
小松美羽はアーティスト。世界に向かって羽ばたこうとしている気鋭のアーティストだ。
実は彼女、YEOができたばかりの約7年前に登場している(12年4月23日~27日)。当時27歳、メディアには〝美しすぎる銅版画家〟として取り上げられ、ニューヨークでアート作品のオークションを生で見て刺激を受け、創作に打ち込んではいたけれど、まだまだ走り始めたばかり。
それから今に至るまでの7年間は、濃いぃ日々だったようだ。
「〝美しすぎる~〟という形容詞は、苦手でした。私の作品ではなく、外見だけが評価されていたわけですから。それは払拭していかないと。形容詞が消えてからが本当の勝負だな、と思っていました。
 でも、メディアに出ることには、抵抗がなくなりましたね。考えてみたら、そのときそのときのメディアに乗っかって最先端を走ってきたのが芸術なんです。メディアに出ることで私の作品もピックアップしてもらえるのなら、それはチャンスなんだと割り切れるようになりました。
目立つことをすると眉をひそめて批判する人もいるけれど、今はいっそ、批判されるほうが楽しい、みたいな(笑)」
 精神的に、大分タフになったみたい。7年の間に、創作スタイルも変容した。銅版画のエッチング・ニードルを絵筆に持ち替え、主な表現方法はペインティングへシフト。立体も手がける。題材は徐々に絞り込まれ、お寺や寺社にいる狛犬、エジプトのスフィンクス、メソポタミアの獅子など、主に神獣や守護獣、スピリットたちを描くようになった。
そんな中で2015年、大英博物館が彼女の有田焼の狛犬作品『天地の守護獣』を所蔵して永久展示となった。その前後からニューヨーク、台湾、香港、シンガポール、ダラスなどなど、世界各地で個展を開いたり、オークションに出品されたり、ライブ・ペイントを披露したり。もちろん日本国内でも個展だけでなく、祭礼やイベントとコラボして創作をパフォーマンスへと昇華させてきた。
 とりわけこの1年、小松美羽への評価が、アジア圏でいっそう高まっているという。長年彼女のプロデュースを担当してきた(株)風土の高橋紀成氏は言う。
「最初にブレイクしたのは台湾です。〈ヴォーグ台湾(VOGUE Taiwan)〉が彼女を〝神隠少女成人版?〟というタイトルで紹介してくれた。あの宮崎駿夫監督の『千と千尋の神隠し』は台湾ですごく人気があるんですが、あれの〝実写版主人公現る!〟と(笑)。アーティスト・小松美羽を紹介する90秒の動画は、2週間で80万回再生されました。展覧会初日、客が1500人詰めかけて大行列を作り、3時間待ちで入れない人もいました。香港にもその人気が飛び火して、オープニングイベントに入場規制がかかったくらいです。それ以前から日本でも、出品した作品はすべて完売、という状況になっていたんですけどね。中国圏での人気はスゴイです。本当に、世界の入り口に来た、という感じですね」
 今週のYEOは、この小松美羽というアーティストを徹底フューチャー。いったい彼女の何がアジア圏を、そして世界を魅了するのか。金曜日まで連日更新します。

【神隱少女成人版? 小松美羽的神獸世界】
https://www.vogue.com.tw/feature/travel/content-36539.html

  • 出演 :小松美羽  こまつ みわ

    1984年11月29日長野県坂城町出身。女子美術大学短期大学在学中に銅版画作品の制作を開始。20歳の頃の作品『四十九日』が高く評価される。近年はアクリル画、有田焼などに制作領域を拡大し、神獣などをテーマに精力的に創作に打ち込む。2014年庭園デザイナー石原和幸氏と共作でロンドン「チェルシーフラワーショー」へ有田焼の狛犬作品を出品、ゴールドメダルを受賞した庭園「江戸の庭」の守護神として置かれた「天地の守護獣」が大英博物館へ収蔵された。ワールドトレード・センター(ニューヨーク)への常設展示、台湾・香港での個展、シンガポール、ダラスでライブ・ペイントを行うなど、多方面で国際的に活躍している。

  • (株)風土 HP・http://miwa-komatsu.jp/

  •  【画集】
    4年振り2冊目の画集が発売。12月5日より日本橋三越で先行販売。12月17日より書店、アマゾンで発売予定。現在予約可能 http://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000001537/

    【展覧会情報】
    『小松美羽展 大和力を、世界へ』
    2018年12月5日(水)~16日(日)午前10時~午後7時 ※最終日は午後6時閉場 
    日本橋三越本店 新館7階 催物会場
    小松美羽サイン会/12月8日(土)9日(日)15日(土)16日(日)各日午前11時~(限定100名)会場内にて。

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/