一見、ふつうのオジサンだけど、ジャー・パンファン(賈鵬芳)はすごい人。東京に拠点を置き、日本各地で演奏活動を行っている二胡奏者だ。演奏のテクニックはもちろんのこと、彼の一番の魅力はその美しい音色。6月15日、神奈川県県民ホールで行われたコンサートは、彼の音色に魅せられた観衆で超満員だった。
「私の音色、きれいだきれいだと皆さん言って下さいますけど、私はふつうに弾いているだけです。意識して作った音色ではありません。長年弾いているうちに、自分の音色になっただけ。」
 流暢な日本語で、ゆっくりと話す。穏やかな表情で、静かに人の話を聞き、ぽつりぽつりと自分を語る。話しているだけなのに、彼の奏でる二胡の音を聞いているような気がしてくる。彼のまわりには、ゆったりとした時間が流れている。
 でもジャー・パンファンの人生は、そんな悠長なシーンばかりではなかった。中国農村部に生まれ、奇跡的にプロの二胡奏者となり、30歳まで中国で活動した上で、日本に移り住んで30年。どうやって彼は二胡奏者になったのか。どうして彼は生まれ育った中国から日本に来たのか。日本での活動はどうやって始まったのか。
彼が淡々と話してくれたドラマチックな人生を、今週のYEOは5日間にわたってリポートする。金曜日まで連日更新、お楽しみに!

  • 出演 :ジャー・パンファン JIA PENGFANG

    中国黒竜江省生まれ。18歳でプロの演奏家を目指して北京へ。中国国内屈指の楽団「中国中央民族楽団」に入団し、ソリストとして10年間、第一線で活躍。1988年、二胡の新たな可能性を求めて来日。作曲家・服部克久氏との出会いが転機となり、日本での音楽活動の場を広げる。コンサート活動のほか、多ジャンルのミュージシャンとの共演やアルバム制作、映画(「LOVERS」)、CM音楽(JR東海・富士ゼロックスなど)、テレビ(NHK「漢詩紀行」「故宮」の音楽、「トップランナー」出演、日経CNBC番組テーマ曲)などでも活躍。また海外公演(アメリカ、イタリア、韓国、台湾他)も積極的に行っており、2010年は故郷中国で初の凱旋公演を行い、中国でも注目されている。これまで発売したオリジナルアルバムは20枚を超え、世界各国で発表され海外のファンも多い。2018年来日活動30周年を迎えた。

    オフィシャルサイトhttp://jia-pengfang.com/news/index.html

  • 【公演予定】
    7月8日京都、7月28日静岡、8月26日富山、9月24日静岡、10月12日東京

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/