経済キャスターになる、という夢を実現し、社外取締役という要職に就き。江連裕子はこの先、どこに向かうのだろう?
「健康で楽しく生きられたら、それでいいんです。野心もありません。みんなに〝将来何になりたいの? 経営者? 政治家?〟ってよく聞かれるんですけど、何もないです」
 その潔い結論は、今までの人生の中から見つけ出したもの。
「何をするか、は大切なことだと思います。でもそれより、誰と仕事をするか、のほうが、今の私にとっては大切です。嫌な人と仕事をするほど、人生は長くない、と思っています。お金よりも、やりたい仕事よりも、好きな人と仕事をするほうが、幸福度が高いから。人生、楽しいと感じられると気がつきました」
 だって人生、この先何年生きられるか、わかりませんよね? と、江連は言う。
「セントフォースのキャスターの後輩、黒木奈々さんや小林麻央さんのように身近にいた自分よりも若い女性が亡くなったこともあり、人生観が少し変わりました。彼女たちが生きられなかった今を生きている、と私は思っているので、今を楽しまないと本当にもったいない。その時間を、私は生かされているんですから」
 プライベートの時間も、今は充実している。着物姿はその象徴だ。
「事務所の後輩たちと、定期的に着物を着ることにしているんです。歌舞伎や能を見に行ったり、ただ単にお茶したり。私は仕事が好きなので、着物を着て出かけましょう、って誘われたときに、ゴメン、仕事で行けないの、とか、仕事で着る時間ないの、って以前なら答えていたかもしれません。でも今は、その答が頭に浮かんだ瞬間に〝あれ? 私、何のために生きているんだろう?〟って(笑)。そういう時間を割いてまで仕事をしていたら、また人生の楽しみを自分で見失って、また身体を壊すかもしれない。だからもう、身体を壊すほどの仕事はしないんです。ちゃんと映画を観るとか本を読むとか着物を着るとか、忙しくてもそういう時間は作りたい。ジムにも行きますし、スノーボードも得意です。旅行や写真も好きで、ライカも持ってます」
 とは言うものの、社外取締役として、江連の日々の勉強はこれからも続く。別に、社外取締役だからといってその必要はないのに、グルメ杵屋の外食産業を理解するために食に関する資格もいくつも取得。エスネットワークスの社外取締役であるからには、と、コンサルティングの勉強も始めた。
「だって取締役会で意見を言うだけじゃ、つまらないじゃないですか。既存の取締役とはどこか違う、私ならではの成果を上げ、企業価値の向上に貢献するために、これからも少しずつ、頑張ります!」

  • 出演 :江連裕子 えづれ ゆうこ

    1977年生まれ。経済キャスター。東証一部上場 株式会社グルメ杵屋社外取締役。株式会社エスネットワークス社外取締役。TBSニュースバードキャスター、KPMG税理士法人を経て日経CNBCのメインキャスターを9年務める。現在は経済セミナーの司会やモデレーターとしても活躍。ラジオNIKKEI『ザ・マネー』(毎週月~金曜日15:10~16:00)の木曜日に出演中。

    セント・フォース プロフィールhttps://www.centforce.com/profile/t_profile/ezure.html

    オフィシャルブログ https://ameblo.jp/ezure-yuko

  • YEOからお知らせ:YEO専用アプリ

    このYEOサイトにダイレクトにアクセスするためのスマホ・タブレット用の無料アプリです。
    とてもサクサク作動して、今まで以上に見やすくなります。ダウンロードしてください。
    iOS版 iOS

    Android版 Android

  •  

    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/