イル・ヴォーロをひとりずつ紹介して、ラストはピエロ・バローネ。端正な顔立ちのメガネ男子で、他のふたりに比べると、ちょっと優等生の雰囲気。
「そうです。僕は一番真面目ですから」
 そのやりとりを見ていたマネジャー女史が、口をはさんだ。
「違うのよ、そう見えるだけ。彼は他のふたりをやる気にさせるのがうまいの。〝イニャツィオ、これをやったら?〟とか〝ジャンルカ、君はこれだ!〟とか」
 イニャツィオも横からこう言う。
「ピエロは自分の考えがすごくはっきりしていて、決心したら必ずやり抜く。要するに石頭なんです(笑)」
 音楽的な才能は、幼い頃から磨かれた。
「子どもの頃、夏はいつも祖父と一緒に夏の家で過ごしていたんです。祖父が音楽好きで、すごく影響を受けました。実はイル・ヴォーロの3人とも、祖父母の代が音楽好きで、彼らの影響を強く受けて今に至った、そのプロセスが一緒なんです。特に三大テノール、パバロッティ、ドミンゴ、カレーラスの偉業から影響を受けている。とはいっても、他のジャンルの音楽、ポップスやロックも僕たちは好きだし、これからはそういうものを取り込んでいくつもりです。で、僕の話に戻ると、まずピアノが弾けるようになって、教会の合唱隊に入団して。今も毎日、音楽の勉強は続けています」
 彼の声は圧巻だ。鼻歌でも歌うようなポーカーフェイスで、歌い始めるとその場を支配するような伸びやかな声が、すごい声量で響き渡る。
「もちろんこの声は神様が贈ってくれたものだけれど、そこから先、歌う技術とか伝える力は自分で作らなければならない。毎日の勉強でそれをちゃんと支えて行こうと思っています」
 やんちゃなジャンルカ、陽気なイニャツィオ、そして繊細かつ骨太なピエロ。3人の絶妙なバランスは、彼らのハーモニーそのもの。ところで、3人の中でリーダーは、だれ?
「リーダーは、いません。3人それぞれ個性があって、3人でひとつのグループだから。強いて言えば、イル・ヴォーロがリーダーです。みんながイル・ヴォーロのために、何が一番良いかを考えているんです」
 最後に、ファンにひと言、お願いします。
「今回、東京のコンサートはすぐに完売になってしまったそうで、川崎は1回完売になってから追加席が用意されたそうだけど、ソールドアウトで諦めてしまった人も多いかも知れない。でも、僕たちはきっとまた日本に来ます。チャンスがあったら次の機会に、僕たちのコンサートにぜひ、来て下さい。お目にかかれるのを楽しみにしています!」

YEOは次週もIL VOLOの魅力をお伝えします! では、来週月曜日からの続きをお楽しみに。

  • 出演 イル・ヴォーロ:

    イタリア男子3人組のヴォーカル・トリオ。ジャンルカ・ジノーブレ(Gianlica Ginoble・22歳)、ピエロ・バローネ(Piero Barone・24歳)、イニャツィオ・ボスケット(Ignazio Boschetto・23歳)の3名で構成。オペラのアリアからポップスの名曲まで絶妙なテノールで歌いあげる。ヨーロッパ、ラテン・アメリカ、アメリカ公演はすべて大成功している。
    オフィシャルサイトhttp://www.tate.jp/concert/IL%20VOLO/concertgilvolo.html

    【コンサート情報】
    IL VOLO初来日記念コンサート『Notte Magica~魅惑の夜~』
    11月29日(水)オーチャードホール(完売)/12月1日(金)川崎市スポーツ・文化総合センター
    http://www.tate.jp/ticket/ilvolo/ticketilvolo.html

    【新譜情報】
    『グランデ・アモーレ』11月22日日本リリース。2015年にリリースされたこのアルバムは、アメリカのビルボードではクラシカル、ラテン・ポップの2部門で1位、ラテンチャート2位に輝くなど世界各国で大ヒット。日本初回限定盤にはLIVE DVD付き、ボーナストラックも収録。 
     http://www.sonymusic.co.jp/artist/ilvolo/info/487323

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    取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/