井本彩花がグランプリに輝いたその日、美少女コンテストの様子はネットでも話題になった。注目を集めたのはもちろん、井本彩花。とりわけ歌唱審査でZARDの『負けないで』を一生懸命に歌うシーンに、コメントが集中した。
 ぶっちゃけ、歌がうまいわけじゃない。音程が外れたり、リズム感がゆらいだ部分もあった。動画には『音痴なのにグランプリ』なんて情け容赦ないタイトルもついていた。
「言われました、みんなに。音痴だって。でもしょうがないなって。音痴なのは自分でもわかっているし、言われるのは当たり前かなって。でも頑張って歌いました。どうなってもいいから最後まで歌い切ろうと思って、最後まで歌いました」
 ひたむきに、一生懸命に歌う彼女は、なんだか妙に魅力的だった。笑い飛ばすよりも先に、胸にキュンとくるものがあった。実はちょっと、感動しちゃったのだ。
グランプリこそ獲ったものの、まだ無名の彼女。なのにこれだけ話題になるのは、やはり井本彩花は、特別なサムシングを持っている、ということかもしれない。

  • 出演 :井本彩花  いもと あやか

    2003年10月23日生まれ。京都府出身。
    2017年8月「第15回全日本国民的美少女コンテスト」30周年記念大会でグランプリを獲得した。

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/