今回の日本公演から『ブラスト!』に参加するのが、藤井麻由。5月末から始まるリハーサルを前に、「プレッシャーと緊張感がどんどん増しています(笑)」。
 藤井が担当するのはカラーガードとバトン。この両方をこなせるのは、本公演では藤井だけだという。
「4歳からバトンをやっています。母がバトンの指導員だったので、イヤイヤでした(笑)。何回も辞める辞めると言っていたんですが、母が中学のときに亡くなり、逆に辞められなくなって、高校卒業時まで続けました」
 大学は、マーチングバンド部のある環太平洋大学を選び、今度はパーカッションに挑戦。しかし部員数が少なく、必要に迫られて、カラーガードにシフトした。
 カラーガードというのは、カラー(旗)を護る人。チームを象徴する旗を先頭で振り回し、士気を鼓舞する存在だ。だけでなく、ライフルや剣を模したアイテムを持ちながら踊ってパフォーマンスする、ショーの華でもある。
「カラーガードが回す旗は、けっこう重たいんです。空気の抵抗があるので、旗がなびくとさらに重い。ほかの人たちと旗の角度をそろえたり、投げ合って受け止めたりするときには、すごい力が必要です。でも私、力には自信あるので。私のパワーが役にたつんです」
 パフォーマンスのために、苦手だったダンスも一生懸命練習して、大学4年間を充実して過ごした。4年生のときにはカリフォルニアのマーチングバンドに参加し、華々しい結果も残した。しかし卒業とともに、活動する場を失ってしまう。
「大学職員として就職しました。出身校で指導もしていましたが、マーチングしている大学生たちを見ていると、〝いいな、私もやりたい〟という気持ちがなくならない。指導より、まだ体力が十分あり余っている今のうちに、自分で活躍できる場がないものかと。ですから自主トレーニングは続けていました」
 そこで思い切って、『ブラスト!』のビデオオーディションに応募。見事合格を手にしたのだ。
「一般の社会人から『ブラスト!』のメンバーになるなんて、異色の経歴だと思います。でもマーチングを続けてきて、諦めきれない人はたくさんいると思う。そういう方たちに、努力していればいつかチャンスがあるんだと、発信したい。その一例になれればと思います」
 今回の日本公演では、ステージ中央で旗を振る彼女を目撃できるのかもしれない。
「いえ、端っこのほうが好きです。性格は地味なんです。真ん中で目立つのは当たり前なので、そこじゃないところでどれだけ輝けるかを追求したいんです」
というわけで、『ブラスト!』の端っこにも、注目!

  • 出演 : 藤井麻由 ふじい まゆ

    1991年生まれ。2014年から母校である山陽女学園高等部などでマーチングの指導にあたっている。 

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/