『クラシックジャパンラリー2017in箱根』には、53台のクラシックカーが出場した。ブガッティ、フィアット、ポルシェ、ジャガー、トライアンフ、オースチン、アルフェロメオにランチア。1927年から1967年までの間に作られた名車ばかりだ。
 今の車とは格が違う。迫力があって威厳があって、まるでイングリッド・バーグマンとかソフィア・ローレンとか、往年の大女優が集結したみたい。
 岡野さんにとってクラシックカーの魅力って、なんですか?
「音ですね、音。マフラーからの排気音がまず素敵ですし、あとはライン。今の車には絶対にない無駄な流線型で(笑)、できているでしょう? あとは運転が簡単ではないこと、ですね。今の車はコンピュータで動いているので、ある程度やってくれますけど、クラシックカーは当然マニュアルなので、自分で1から10まで操作しないと運転できない。クラッチを切ってシフトアップしたりダウンしたり。山道なんか走っていると、1回アクセル踏んで回転数をぶわーんと合わせてから、シフトダウンする。それが一発でうまくいくとね、しびれるんですよ(笑)。車と会話しながら動かしている実感があるんです」
 クラシックカーラリーに出場するのは、主にその快感を味わうためらしい。
「クラシックカーを持っていても、実はそうそう、乗る機会がないんです。近場をぐるっと回ることはあっても、遠出するときに乗ろうとは思わないしね」
 そのクラシックカーを操って、ラリーでは、運転技術を競い合う。規定のルートに従って目的地まで走るだけでなく、合間合間に〈決められた区間を、決められた秒数で走る〉PCという競技があるのだ。
 たとえば〈①35㍍を8秒、②25㍍を6秒、③45㍍を11秒〉と、連続してタイムトライアルに挑戦する。地面に設置されたセンサーを前輪が踏んだ瞬間から、1000分の1秒単位で通過時間を計測し、その誤差を競い合うのだとか。ベテランになると、その誤差はなんと0.03秒とか0.02秒!
「僕なんかは、アクセル踏みっぱなしで回転を高くしておいて、左足でブレーキングしながら微調整して進みます。外観はエレガントな車ですけど、戦うときはシビアなんです(笑)」

  • 出演 : 岡野正道 おかの まさみち

    1963年生まれ。株式会社インプレッション代表取締役。 
    HP http://www.impression.co.jp/

    Classic Japan Rally 2017 in HAKONE  https://classicjapan.jp/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/