ZABADAKのファンは、幅広い。老若男女、ありとあらゆる種類の人が、ZABADAKファンという共通項だけで場を分かち合っている。吉良氏が映画や演劇、ゲームなどに書いた音楽を入り口にしている人もいれば、NHKの幼児番組『いないいないばあっ!』に提供した作品から惚れ込んだ人もいる。どこから入ったとしても、まるで迷宮のようにZABADAKの音楽は奥深い。
 その音楽を言葉で説明するのは難しいので、小峰の言葉を借りると――。
「一応たぶんプログレッシブロックなんだけど、幅が本当に広くて。ギター1本でも成立するメロディの強さは魅力ですね。それをいろんな音楽の要素を織り込んだ緻密なアレンジが支えている。バリバリのロックも、ケルト・アイリッシュ系の曲もあるし日本民謡までZABADAK風にしてしまう。ビートルズっぽさや〝切なさ〟〝懐かしさ〟が漂っていて・・・・ひと言では難しいなぁ・・・・アコースティックプログレ、みたいな?(笑)」
 2000年、ZABADAKは個人事務所を立ち上げ、ガーゴイルレコーズというレーベルを立ち上げた。
「アーティストが自分でマネジメントや制作に関わると10年もたないと言われますし、しかもミュージシャンがそんなことやったらクリエイティビティがなくなるって、みんなに言われました。それがすごく悔しくてね(笑)。一年に一枚はアルバムを出し、しかもアルバムのクオリティは絶対落とさない。コンサートもバンバン続ける」
 とはいうものの、吉良氏も小峰もアーティスト同士。オンもオフも一緒に生きるのは、かなりハードな状況では?
「すごく大変です、現場では憎み合っていたかも(笑)。でもミュージシャン同士が音のことでヒートアップするのは当たり前のことだし、みんな普通にやっていることだから。ただ吉良くんは絶対妥協しない人だし、大げんかのようになって、周りはハラハラしていたと思います。だけどスタジオでケンカしても、うちに帰ると全然。じゃ、ご飯食べようかって(笑)」
 アーティストとしてもひとりの人間としても、ずっと一緒。それを16年間、続けてきた。
「ZABADAKって、売れたことないんです。だけどこんなにファンがついているっていうのは、すごいことだと思う。流行りものだからって聴いた人はすぐに飽きて離れていくけど、本当に好きでのめり込んでくれている人が、ずっと聴いてくれているんですよね」
 そんなZABADAKだから、やめるわけにはいかない。

  • 出演 : 小峰公子  こみね こうこ

    福島県生まれ。高校時代にバンド活動を開始。大学進学後、東京でさまざまな大学の音楽サークルに参加。1987年よりZABADAKに歌詞を提供、コーラスなどで活動に参加するようになる。1991年、保刈久明と結成したKARAKがメジャーデビュー(後に活動休止)。2000年以降、ZABADAKの事務所を立ち上げ、活動をサポート。その一方で多くの楽曲の歌詞を提供、ボーカルとして重要な役割を果たし、2011年3月正式メンバーとして加入。ZABADAKの吉良知彦とは27才で結婚、1児をもうけている。
    ZABADAKのHP http://www.zabadak.net/

    ヘアメイク 双木昭夫https://ameblo.jp/kurarasystem/

  • YEOからお知らせ:YEO専用アプリ

    このYEOサイトにダイレクトにアクセスするためのスマホ・タブレット用の無料アプリです。
    とてもサクサク作動して、今まで以上に見やすくなります。ダウンロードしてください。
    iOS版 https://itunes.apple.com/us/app/yeo-xie-zhen-ji-shi-lian-zai/id1188606002?mt=8

    Android版 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.alphawave.yeo_android&hl=ja

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/