小峰が音楽に目覚めたのは、３才のとき。親戚の家にあったピアノに初めて触れて、鍵盤に魅せられたという。
「そのときのこと、覚えているんです。インプロビゼーションで弾きまくりました(笑)。その様子を見て両親が、この子に楽器を買ってあげなきゃ、と思ったそうです」
　エレクトーンを習いはじめるとみるみる上達し、高校のときには地元の郡山代表で東北大会に出るほどの腕前に。バンドを組んで、活動を開始した。とはいえ、あくまでもキーボード担当。
「歌おうとは思っていなかったんですよ。大学に入ったらすぐそばに菅野よう子がいて、彼女があまりにうまいので、私は弾く必要ないだろう、と(笑)」
　とはいえ、やがて〝自分にしかできない音楽〟を求めはじめ、自分の声、自分の詞で歌うことに。その才能は、意外なところでも開花した。
「声の仕事、ＣＭの仕事が増えたのが26才頃からです。〝日清の、はいっ、ラーメン屋さん♪〟とか〝エモリカの、お・ふ・ろ♪〟とか、〝クロレーッツ♪〟とか」
　目の前で歌ってくれると、懐かしい！　そうそう、テレビから流れていたあの声だ。
コミカルだったりスイートだったり元気だったり。ＣＭクリエイターたちの意図を読み取ってさまざまな声、いろいろな歌い方で応える小峰は、人気ボーカリストだったという。
　ＺＡＢＡＤＡＫと出会ったのは、それより前のこと。
「初めて聴いたとき、感動したんです。〝こんなに私が聴きたかった音楽をやっている人がいたんだ！〟と。独特の世界を創る、すごい才能の持ち主だと驚きました。そこから私もＺＡＢＡＤＡＫに詞を書いたり、コーラスとして参加したりしてました」
　その一方で、彼女自身のバンドもメジャーデビュー。高校時代から友人と活動していた、ＫＡＲＡＫだ。
「デビューしたので、ＺＡＢＡＤＡＫにコーラス参加するのはまずいということで、ステージからは撤退しましたけど、吉良くんの曲に詞は書いていました。その後もコンセプト作りとかいろいろいろいろ、ＺＡＢＡＤＡＫから離れていた時期はほとんどないですね」
　それもそのはず、だって彼女はその頃、吉良氏と結婚。プライベートでもパートナーになっていたのだ。