小峰公子は、歌う人。一度聴くとその声は、胸の奥に棲み着いてしまう。
 小峰公子は、詞を書く人。その言葉は目の前に、想像を超えた世界を構築する。
 柔らかい、優しい、ぬくもりのある声。だけどけして甘くはない、芯の通ったその声で歌うのは、自然とか命とか時間とか宇宙とか。繊細だけど、骨太だ。
「もともと、タルコフスキーの映像作品が好きなんです。あんな普遍的な美しい世界、絵画的な世界を、なんとか音で表現できないものかと」
 もっと簡単な言葉でいうと、〝おっきい系〟。
「ああ、そういう言い方をする人、いますね。詞を頼まれるときによく、『小峰さんお得意の〝おっきい系〟でお願いします』って言われます(笑)。たしかに私は、惚れた腫れたの恋愛の歌よりは、大きい意味での普遍性というか、そういうものに興味があるんですね。作詞って、人の気持ちの中に起こるもの、まだ自分の言葉になっていなかったものを拾い上げていく作業だと思うんです。気持ちの中のもやもやを言葉に言い換えて、みんながわかるなにかに変えていくことが、作詞家の仕事かなって」
 KARAK、そしてZABADAKの一員として、すでにキャリアは約30年。その歌声はさまざまな経験をへて磨きがかかり、豊穣な翳りを帯びてきた。
「そうですね。歌はやっぱり、そのたびごとに違うから。年齢とか季節とか、そのときだけの歌になるんです。今しか歌えない、たとえ声が出ない日があっても、そのときの自分だけの歌になっていくんでしょうね」
 今現在の小峰公子は、どんな歌を歌おうとしているのか。今週のYEOはその話を聞きながら、金曜日まで毎日更新。ネットでちょっと検索して、彼女の声を聴いてみてほしい。明日からの写真と記事が、さらに面白くなるはずだから。

  • 出演 : 小峰公子  こみね こうこ

    福島県生まれ。高校時代にバンド活動を開始。大学進学後、東京でさまざまな大学の音楽サークルに参加。1987年よりZABADAKに歌詞を提供、コーラスなどで活動に参加するようになる。1991年、保刈久明と結成したKARAKがメジャーデビュー(後に活動休止)。2000年以降、ZABADAKの事務所を立ち上げ、活動をサポート。その一方で多くの楽曲の歌詞を提供、ボーカルとして重要な役割を果たし、2011年3月正式メンバーとして加入。ZABADAKの吉良知彦とは27才で結婚、1児をもうけている。
    ZABADAKのHP http://www.zabadak.net/

    ヘアメイク 双木昭夫https://ameblo.jp/kurarasystem/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/