小象が歌うのは、コミカルな歌ばかりではない。『待ってる』『高校時代』『桜散る』など、心にしみいるメロウなバラードと詞で、聞き応えがある名曲だ。
「宮城県出身なので、東日本大震災の影響は大きかったです。ライブで本気でやりはじめたのは、あの後からだと思います。別に皆さんを元気にするとか、メッセージがあるとかじゃなくてね、なにかやらずにいられないというか。『高校時代』は、当時付き合っていたクミコちゃんとよくふたり乗りでサイクリングに海辺に行って、一緒に海を見てたなって歌です。それがもう今は、立ち入り禁止だし、その風景が一切ないんですよ。そういうあれをね、2時間のライブやっていると、笑ってもらう歌ばかりじゃ、お客さんも飽きるから。こういうのも歌いたくなるんですよ」
 小象の歌を聴いていて、フォークソングの良さを改めて痛感した。ひとりひとりの小さな哀しみやよろこびは、ギターの音色とピタリ、相性がいい。クスッと笑ったり、ほろっと泣いたり、ふーっとため息をついたり。小象の歌を聴くだけで、なんか落ち着く。自分が背伸びしていたこと、肩に力が入っていたことに気がついて、ふっと力が抜けていく。とりあえず明日も生きていこうと、肝が据わる。
「これからも不定期ですけど、浅草とか経堂とかでライブやったり、年に1度は大きなとこでライブやります。気が向いたら、都合ついたら、一度見に来てください」
 ちなみにハギニワ氏は、朝 『ジャスティン』を聴いてから仕事に出かけると気分がいいとか。ネットでチェックしてみてほしい。あなたにも、お気に入りの小象がきっと見つかるはずだ。

  • 出演 : フォークシンガー小象  ふぉーくしんがーしょうぞう

    フォーク歌手  2000年より小林顕作(現・宇宙レコード)とフォークデュオ「羊(ひつじ)」を結成。その後ソロ活動を開始。BSフジ「宝島の地図」の〝小象さんの歌のコーナー〟でオリジナル曲を発表。その後ライブ活動を開始。アルバム『for LOVE,for SELF,for LIFE』を発表した。 現在、東京・ 浅草Zinc や世田谷区 経堂 さばのゆ などで不定期ライブ活動中。 
    オフィシャルウェブサイト  http://folksingersyozo.wixsite.com/heibonrecord

    撮影協力『JAZZ&BAR-Zinc-ASAKUSA』  http://music.geocities.jp/zinc_asakusa/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/