小象の歌は、胸の奥まで届く。詞の言葉がそのまま入ってきて、目の前にその世界がぱぁっと拡がる。落語とかひとり芝居と、ちょっと似ている。
「そう、言われたことあります。僕はライブでは歌っているだけで、演じているつもりはないんですけど、ひとり芝居を見ているようだって。ミュージシャンの方に、俺らにはできない感じのことやってるって言われたことあります。たしかに、言葉を伝えようという意識は強いかもしれませんね」
 ひょっとして、本業は役者さんですか? そういえばYEOで『新ロイヤル大衆舎』(アーカイブ参照2017年2月27日~)を取材したとき、大堀こういちという俳優を取材したんですけど・・・・。
「あ、いや、どうなんでしょうねぇ?」
 はぐらかす、小象。
 そういえば、大堀こういちはこう言っていた。
「僕は仙台のコンピュータ系の専門学校を出て、横浜で就職したんです。光ファイバーの開発プロジェクトというところに配属されて、研修受けて、でも仕事の内容が何が何だかわからないんですよ。つらくてね、1年経つか経たないうちに、辞めました。そのとき会社に言った退職理由が『田舎に帰ってミュージシャンになります』って。ワケがわからないこと言ってましたね(笑)。その後役者になろうといろいろ劇団受けたんですけど当然落ちて、結局小劇場に行き着いた。それからは、売れない時期が長かったです。ずっと不遇でしたから、最近、こうして舞台や映像でお仕事いただいて、歌まで歌っていられるのは、すごい幸せだと思うんです」
 仲間が〝演劇界の重鎮〟と呼ぶ俳優・大堀こういちとフォークシンガー小象は、ギャップありすぎ。だけど張りのある歌声やライブMCの見事なフリートークっぷりは、どこかでつながっているような。
 ま、別に、小象が誰であろうと、いいんですけど。ね?

  • 出演 : フォークシンガー小象  ふぉーくしんがーしょうぞう

    フォーク歌手  2000年より小林顕作(現・宇宙レコード)とフォークデュオ「羊(ひつじ)」を結成。その後ソロ活動を開始。BSフジ「宝島の地図」の〝小象さんの歌のコーナー〟でオリジナル曲を発表。その後ライブ活動を開始。アルバム『for LOVE,for SELF,for LIFE』を発表した。 現在、東京・ 浅草Zinc や世田谷区 経堂 さばのゆ などで不定期ライブ活動中。 
    オフィシャルウェブサイト  http://folksingersyozo.wixsite.com/heibonrecord

    撮影協力『JAZZ&BAR-Zinc-ASAKUSA』  http://music.geocities.jp/zinc_asakusa/

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/