おりえさんの護身術は、犯人側の心理や事情を研究したうえで考えられている。
たとえば、夜道で後をつけてくる痴漢について。
「後ろを付けられていると感じたら絶対、立ち止まって下さい。止まったりUターンされるのが一番、犯罪者にとって嫌なことらしいです。人気が無い通りだったら、すれ違うのは危険ですから、道の反対側に渡ってから元の方向に戻る。とにかく繁華街に、明るいところに行くこと。コンビニに寄って相手をまこうとする女性は多いですけど、それはダメ。相手は何時間でも外で待っています。中に居るのがわかっているんですから、出てくるのを知っているんですから、待ちますよ。危ないと思ったら、その時点で帰る方法を変えて下さい。人を呼ぶか警察を呼ぶか、タクシーに乗るか」
 どうしてそんなに犯罪者の心理に詳しいかというと、日頃から犯罪者のリポートやデータを収集し、研究しているから。
「犯罪の範例や、犯罪者が刑務所で書いた経験談、さらには犯罪から足を洗った人が警察に協力し、犯罪のノウハウを記録したものとか、片っ端から読んでいます。専門家の講演会にも行きますし、そういうブログも探して読みます。実際、罪を犯す人間が何を考えているのか知らないと、対策の立てようがありませんから。日本一の女性護身術師になりたいので、勉強は欠かせません」
 とはいえ、中には正解の見つからない課題もある。
「露出狂に対して〝小さい〟と言うべきか、どうか。あの人たちが一番嫌がるのが、大きな声で叫ばれることと、警察に通報されること。でも無視されるのもイヤなんですって。小さい声で〝キャー〟と叫ばれるのが一番嬉しいらしいです。あと〝小さい〟って言われるのも傷付くどころか、見てもらった証拠ですから、嬉しいらしいんです。なので叫ぶのなら、大きな声を出すべきですね。なかなかいざとなると大きい声なんて出ないものですけど、そこは頑張って」
 さらに、痴漢をしたくなった男性にも、犯罪へと走らないためのアドバイスが。
「触りたくなったら、手を冷やすといいそうです。アイスパック持参するとか、冷たい壁に手を当てるとか。あと、手袋も効果があるそうです。電車に乗るときは絶対に手袋をして、それを外さないこと」
 ご参考までに。

  • 出演: おりえ 

    剛柔流空手の師範を父にもち、幼い頃から中学生まで空手を続けた。結婚・出産後、硬式空手の少林寺流拳行館に入門。『硬式空手2014ジャパンオープン成人女子 組手』と『2014年月刊空手道杯成人女子 型・組手』で優勝。その後、経験と知識を活かして日本唯一の女性護身術師に転身、講師として活動中。また身体と心を護る『オリエンタル空手メソッド』も発案している。 
    ホームページ  https://ori.amebaownd.com/

    問い合わせ先 : Orioriori.7171@gmail.com

    YEOからお知らせ:YEO専用アプリ

    このYEOサイトにダイレクトにアクセスするためのスマホ・タブレット用の無料アプリです。
    とてもサクサク作動して、今まで以上に見やすくなります。ダウンロードしてください。
    iOS版 https://itunes.apple.com/us/app/yeo-xie-zhen-ji-shi-lian-zai/id1188606002?mt=8

    Android版 https://play.google.com/store/apps/details?id=com.alphawave.yeo_android&hl=ja

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/