おりえさんによると、護身の一番の大敵は、偏見とか思い込みだという。
「男目線で書かれている護身術には、〝痴漢被害に遭わないためにスカートは長めに、清楚な服装をしなさい〟って書いてありますけど、それは間違いです。実際にスカートが短い、挑発的な服装で襲われた人は5%しかいなくて、おとなしい服装の人が36%なんですよ。しょっちゅう痴漢に遭う女子高生が、どうして自分だけ襲われるんだろうと周りの子と自分を比べてみたら、自分だけスカートが長かった。思い切って次の日からスカートを短くしてみたら、全然痴漢に遭わなくなったという話があります。何かされても口に出しそうにない、おとなしい雰囲気の女性のほうが狙われます。それに、若い子だけが狙われるというのも、単なる思い込み。40代50代の熟女好きもいますし、70代80代にしか興奮しない男性もいます。世の中、意外とフェチが多いんです」
 犯人側への偏見も、意外と根強い。
「窃盗犯とかふつうの犯罪だと、社会的地位のない人が7割で、地位のある人が3割。でも性犯罪になると、5:5なんです。地位も職業もまったく関係ない。しかも、未婚の男性が危なそうに思われていますけど、犯人の6割以上が既婚です」
実はハギニワ氏も、痴漢に遭ったことがあるとか。
「18歳くらいのとき、山手線に乗っていたら、モソモソしてるから〝あれ?〟って振り返ったら、後ろにいた男が〝はっ!〟ていう顔をして。当時ロン毛だったし、セクシーなお尻してたんだと思う(笑)」
 ま、その話は置いといて。
 おりえさん自身も昨年、電車内で不審な男に狙われた経験が。
「すごく空いている車内で、座席シートはガラガラなのに、わざわざ私の隣に座って密着してきた男がいたんです」
 そんなとき、ふつうだったら席を立って次の車輌に行くか、降りてしまうか。
「ひとりで怖がって移動するのは危ないです。後をつけてくる男は多いし、特にお酒なんか入っていると、どこまでもついてくる。周りの人達にわかるように、これ見よがしにその人を避けて席を移るのが一番です。ちなみに私はそのとき、向かい側に座っていた男性がその男をにらみつけてくれていたので、何事もありませんでした。けっこうイケメンだったので、その日はすごく幸せでした(笑)」

  • 出演: おりえ 

    剛柔流空手の師範を父にもち、幼い頃から中学生まで空手を続けた。結婚・出産後、硬式空手の少林寺流拳行館に入門。『硬式空手2014ジャパンオープン成人女子 組手』と『2014年月刊空手道杯成人女子 型・組手』で優勝。その後、経験と知識を活かして日本唯一の女性護身術師に転身、講師として活動中。また身体と心を護る『オリエンタル空手メソッド』も発案している。 
    ホームページ  https://ori.amebaownd.com/

    問い合わせ先 : Orioriori.7171@gmail.com

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/