おりえさんが女性に提唱する護身術の基本は、逃げること。逃身術だ。
「襲ってくるのはほとんどの場合男性です。男性と女性では、身体のつくりが違いますし、力だって圧倒的に男が強い。しかも全力で襲ってくるわけですから、闘って勝てるわけがないんです。ひ弱に見える男だって、女よりたいていは強い。空手チャンピオンだった私だって勝てません」
 だから彼女が教えるのは、不審者に遭遇したときに、走って逃げるための呼吸法。恐怖で身体が震え、息もできなくなったときにどうするか。手首をつかまれたとき、どう抜け出すか。そして最終手段として、相手をひるませて逃げるための、必殺の一撃。
 だがそれ以前に、心得ておくべき事がある。
「人気のない時間帯に暗い夜道を歩くときは、スマホの防犯アラームをいつでも鳴らせるようにして持ってください。無料でダウンロードできます。いざというとき大きな音がしたり、ぴかぴか光ったりすると、犯人がびっくりするんです。そのすきに、逃げる。あと、家の鍵を握りしめて、鍵の尖った部分を指の間から出しておくこともお薦めしています。これが当たると痛いんです。犯人はひるみますし、こちらも何か持っていると力が入る。力が入ると人間、声を出したり走ったりしやすいので、逃げるためにはとても効果的です」
 結局、ふだんから用心していること、緊張感を持っていることが、一番大事。
「駅のホームで電車を待っているときは、両足を揃えて立たずに、必ず足を前後にして下さい。駅のホームから転落するのは酔っぱらいが6割以上なんです。だとしたら、いきなり巻き込まれる可能性もすごく高い。たとえ突き飛ばされても踏みとどまるには、足を前後にしてひざを曲げ後ろに体重をおくことが大事です。そういったひとつひとつの心がけが、護身なんです」

  • 出演: おりえ 

    剛柔流空手の師範を父にもち、幼い頃から中学生まで空手を続けた。結婚・出産後、硬式空手の少林寺流拳行館に入門。『硬式空手2014ジャパンオープン成人女子 組手』と『2014年月刊空手道杯成人女子 型・組手』で優勝。その後、経験と知識を活かして日本唯一の女性護身術師に転身、講師として活動中。また身体と心を護る『オリエンタル空手メソッド』も発案している。 
    ホームページ  https://ori.amebaownd.com/

    問い合わせ先 : Orioriori.7171@gmail.com

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  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/