負のスパイラルから脱却して、ひとり立ちを目指して歩き出した蒲生麻由。しばらくモデル&女優の仕事を離れていたため、サイドビジネスとして立ちあげたジュエリー・デザイナーの仕事に取りかかった。
その関係で出会ったのが今のご主人で、とんとん拍子に結婚することになった。

 「以前卵子の数が残り少ないとわかった時点で、自分の意志で卵子凍結をしましたが、卵巣凍結という私にとっては最終手段があることを知って、どうするべきか迷っていたときに主人と出会ったので、彼にすべてを話し、ふたりで本格的に不妊治療を始めることができました。漢方薬を飲んだり鍼に通ったり、できることはなんでもしました」

 まずは母体チェックをしたところ、甲状腺に若干の異常が認められて、投薬を開始。人工授精で妊娠に成功したが、流産を2度、繰り返した。
「不妊治療って、本当に大変なんです。先の見えないトンネルを、ひたすら前に進むような。しかも努力すれば必ず報われるわけではなく、得られる成果はゼロか100、どちらかです。周囲からは〝あまり考えすぎないほうがいい。諦めた頃にできるっていうじゃない?〟って、いろんな人から言われましたけど、そんなに簡単なことじゃない。希望は持ちながら、でも期待しすぎないように心のバランスを取るのがどんなに難しいことか! しかも治療を始めてずいぶん経ってから、今度はこの検査、次はこの検査と、だったら最初から全部検査すればいいのに! って思うことばかり。いつまで続けるんだろう? いつ辞めるべきだろう? そう思いながら病院に通うのは、本当にツラい日々でした」

 そこで彼女はいったん、不妊治療を中断した。

「〝子どもがいないといけない〟という思い込みに振り回されている自分に気が付いたからです。〝子どもがいる人生だけが幸せとは限らない。ふたりでも幸せになれるよね〟と、彼とゆっくり話し合う時間を取りました」
 そしてあと1回だけ頑張ろうと、体外受精に挑戦。再度妊娠し、今回は何事もなく臨月を迎えることができたのだ。

  • 出演:蒲生麻由 がもう まゆ

    1982年3月16日生まれ。埼玉県出身。女性ファッション誌『プチセブン』『ViVi』の専属モデルとして活躍後、『仮面ライダー響鬼』をはじめ特撮シリーズで女優としての活動の場を広げ、その後、TBSの連続ドラマ『ハタチの恋人』、映画『少林少女』(2008) 『沈まぬ太陽』(2009)『サヨナライツカ』(2010)など、数々の映画、TVドラマや広告に出演。更にフルマラソンやトライアスロンにも挑戦してきたことでライフスタイルにも注目されてきた。
    ブログ http://ameblo.jp/mayu-gamo/

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/