そもそもニコレッタが生まれたのは、ルーマニア。国立ブカレスト大学で言語学に取り組み、日本語を専攻したのが、ことの発端だった。

「日本語を選んだのは、みんなと違うことをやりたかったからです。ふつうの学生はフランス語とかドイツ語を専攻するけど、私はメインストリームじゃない日本語に惹かれました。もちろんそれ以前に日本の文化や文学にも興味がありましたし。川端康成とか、松尾芭蕉、遠藤周作。映画でも黒澤明監督の『七人の侍』とか宮崎駿の作品が好きなんです」

 とはいえ、日本語は難しい。

「ルーマニア人は学校で小さい頃からドイツ語や英語、フランス語、たまにスペイン語なんかも習います。でも日本語はどの言葉とも似ていないし、片仮名やひらがなまであって、すごく大変でした。最初は頭を抱えてしまったほど! でも逆に、だからこそ夢中になったのかもしれません。同じ人間が話す言葉なのに、なんでこんなにかけ離れた言語なんだろうって(笑)」

 大学を卒業後、日本の学習院大学に留学。日本語検定の1級までゲットした。

「授業で学んでいた歌舞伎や能も、日本に来て初めて見ました。知識だけあったものを初めて実際に味わうことができて、嬉しかったです。でもそれから2年後くらいに日本から離れてしまったんです」

 ヨーロッパに戻って結婚&出産。そして女の人生はまだまだ続く!

  • 出演:ニコレッタ・オプリシャン Nicoleta Oprisan

     ルーマニア・ブカレスト大学にて言語学の学士号を取得し、イギリス・レスター大学にてマスコミュニケーション学の修士号を取得。さらに日本の学習院大学で日本語を学んだ。11年前から家族とともに日本に在住。数年前から草月流いけばなを学び、師範となる。2年前、株式会社5Sensesを設立。生け花だけでなく、人々の五感を刺激するアイテムを次々と生みだしている。
    オフィシャルサイト http://5senses.co/ja/welcome.html

    Facebook https://www.facebook.com/5-Senses-811766138931083/

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/