2017年のYEOは味の濃いぃこのふたり、『ガレージシャンソンショー』から始まる。

 山田晃士(右・Vocal&Guitar)によるとガレージシャンソンとは、〈シャンソンの持っているブルジョワジー的要素を排除し、その毒性・変態性の部分を強く押し出し、例えダメ人間であろうとも其の思いの丈を包み隠さず曝け出す有り様〉であり、彼自身は〈ガレージシャンソン歌手という名のロックヴォーカリスト〉なのだとか。

 この山田晃士の圧倒的な歌唱力、豊かな声量、艶やかな歌声を支えているのは、佐藤芳明(左・Accordion)が超絶技巧で奏でるアコーディオン。その音色はたったひとりで発しているとは思えないほど分厚く、しかも繊細だ。歌と共鳴するように存在感のあるその響きは、山田の歌とその声が生み出す世界観に、深い陰影をつけていく。

 さらに、ガレージシャンソンショー(以下略してガレシャン)の真骨頂は演奏だけではない。MCにも歌詞にも、そして曲と曲の合間に挟み込まれるふたりの〈小芝居〉の台詞にも、ドキッとするような時事ネタ、箴言、ユーモア、そして毒気がしみ込んでいる。

「アコーディオンと歌うたい、ふたりだけでやるっていう形態は、言ってみればのど自慢状態なんですけど(笑)。日本でシャンソンというとスノッブな部分ばかりが先行してしまいがちだけど、本来は一般大衆のものであって、ちょっと華があって毒があってユーモアもある。ガレシャンはそういうシャンソンの形を借りて、自分たちがやりたいことをやっているのかもしれないですね」(山田)

「ステージでは思い切り遊びます。こっちが本気になって遊ばないと、中途半端だとお客さんも居心地が悪いし、何も伝わらないんですよ。ハンパに遊ぶなよってことになるので、やるんだったら本気で遊んじゃえって思います。僕らのパフォーマンスは毒々しくて非日常感満載で、そういうのが好きなお客さんがライブに集まってくれて、面白がってくれているんだと思います」(佐藤)

 若気の至りはとっくに過ぎて、大人の男たちが真剣に歌い演じるガレシャンの世界。
今週も金曜日まで毎日更新しながらのご紹介。乞う御期待!

  • 出演:Garage Chanson Show(ガレージシャンソンショー)

    歌手・山田晃士とアコーディオン奏者・佐藤芳明のユニット。2001年に結成、2006年にいったん活動を停止したが2013年より活動を再開。2016年10月13日デビュー13年目を飾る3枚目のアルバム『13~treize(トレーズ)~』を発売した。リリースツアー第一弾を全国各地で展開、2017年1月13日(金)渋谷Mt.RAINER HALLがファイナルステージとなる。第二弾は3月中旬より下記参照。
    ライブ予約は http://fm.sekkaku.net/mail/1344315616/

    ●ニューアルバムリリースツアー

    『13~treize~』FINAL
    1/13(金)渋谷 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
    open18:00/start19:00
    
前売り¥4500/当日¥5000(全席自由・drink別)

    問/PLEASURE PLEASURE 03-5459-5050
    e+でチケット発売中

    ●ガレージシャンソンショー13~treize~リリースツアー第二弾
春の演奏会『めばえ』

    3/16(木)名古屋 TOKUZO
    3/17(金)大阪 Vi-code
    3/18(土)松山 OWL
    3/19(日)福岡 ROSA ROSA
    3/20(月・祝)広島 ヲルガン座

    ●『外苑前の客人(まろうど)』

    3/28(火)南青山 MANDALA

    客人:磯部舞子(ヴァイオリン)
    4/24(月)南青山 MANDALA
    客人:田島隆(タンバリン)

    山田晃士(やまだ こうし)

    ロックバンド『AROUGE』のヴォーカルとしてデビュー、1985年に脱退。1994年『ひまわり』(日本テレビ系ドラマ『横浜心中』主題歌)で歌手デビュー、20万枚を売り上げたがその1年後に活動を中断して渡仏。帰国後は多方面で活動を重ね、2007年『山田晃士&流浪の朝謡』をスタート。現在は『独り舞台』『ガレージシャンソンショー』など幅広く活動中。オフィシャルサイト【孤独中毒】
    オフィシャルサイト http://www.koshiyamada.com/

    佐藤芳明(さとう よしあき)

    国立音楽大学在学中、独学でアコーディオンを始める。卒業後渡仏しアコーディニストDaniel Milleに師事。Pot Heads、佐藤鈴木田中など自身のリーダーバンドを持ちながら森山威男グループ、Salle Gaveau、ガレージシャンソンショー、ヨルダン・マルコフ・ブルガリア五重奏団などにも参加。国内外のライブ、レコーディング、舞台音楽などさまざまな現場で数多くの仕事をこなす。
    ライブ情報は http://www.geocities.jp/acc_sssaaatttooo/schedule.html

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/