ブラインドサッカーの試合を初めて見たときは驚いた。

 ごついアイマスクをした選手たちが、スイスイとボールを足で運び、パスをして進んでいく。ボールを追って動き出すときには〝ボイ!〟と声をあげるのがお約束。だけど選手同士は衝突したりもみ合ったり、けっこう激しい。観客席が無言で見守る中、転がると音が出る特別なボールは、シャリシャリシャリシャリと微かな音を出しながら、フットサルと同じ広さのピッチを転がっていく。

 両側のサイドラインにずらっと1㍍くらいのフェンスが並んでいて、選手たちは位置確認のためにフェンスに触れたり、ボールがそこで跳ね返ったり。でもパスしたりカットしたりの動きは、ふつうのサッカーと変わらない。ゴール裏に立ったガイドが声を上げて合図すると、そちらの方向に向かってシュート! 

 点数が入ったときだけ、観客席の応援が盛り上がる。プレイが再開すると、ボールが発する音を邪魔しないように、またもや観客席は静まりかえる。けれど、ピッチを見つめるみんなの目は熱い。ちなみに、2014年世界選手権のキャッチ・コピーは『見えない。そんだけ。』。

 今週のYEO、テーマはこの〈ブラインドサッカー〉。ただし今回取り上げるのは、選手たちではない。選手たちをサポートするボランティア・メンバーや、試合や大会を運営するスタッフに会って話を聞いた。
障がいのある人たちのスポーツは、健常者のサポートがないとスムーズに進行しない。もちろん、健常者のスポーツだってそれを支える人たちの力は不可欠だけどね。裏方に回って、自分以外の人間がベストを尽くすことを応援する。そこから、いったいどんなものが見えているのだろう?

  • NPO法人日本ブラインドサッカー協会 

    オフィシャルサイト  http://www.b-soccer.jp/

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/