お気に入りの美容院があるということは、人生を彩る小さな幸せのひとつに違いない。

 たかが美容院で大げさな、と思いますか? けれど、便利だからという理由だけで近場の店に通ったり、流行の店を転々としているうちは、どこか自分が定まらない。本当はもっとステキになれるかもしれないのに、妥協しているような、空回りしているような、似合わない服を着ているような。

 今週のYEOは、美容師の新納忠幸さんをクローズアップ。東京・南青山で『宣伝広告ゼロ・看板 ホームページもない・お客様からの紹介でしか予約することができない』プライベートサロンでスタイリストをしている。つまりは口コミだけで、営業中。その結果、営業成績と顧客満足度は抜群なのだとか。さらにはその成功の秘訣を美容業界の仲間たちにアドバイザーとして発信したり、一般企業まで足を運んで講演しているという。

 何をするにせよ、ネットを通じて広く世間に宣伝するのが当たり前になってしまった今、新納さんのこのスタイルは、画期的。そして彼の話を聞くうちに、美容師という仕事の本質が見えてきた。

「美容院を出るときに、女性だったら〝いい女〟、男性だったら〝カッコイイ男〟になっているのが、お客様の一番の目的だと思うんです。それをかなえてさしあげるのが、僕たちの仕事なんですよ」

 いったい、どんなふうに? という質問の答えは、今週金曜日まで連日、YEOがリポートします。お楽しみに。

  • 出演:新納忠幸(にいの ただゆき)

    1977年11月7日 東京都出身。住田美容専門学校卒。23歳でNY渡米後、資生堂ビューティークリエイターSABFA卒。24歳 AYOMOT入社。2010年 shu uemura Hair & Make Contest最優秀賞。2016年 Schwarzkopf Generation Next選考メンバー。
    プライベートサロンbyAYOMOT

    オフィシャルブログ http://s.ameblo.jp/niinotadayuki/message-board.html

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/