人は、〈なりたいモノ〉になるのと、〈なれるモノ〉になるのと、どっちがいいんだろう? 何モノかになりたいと思ったときに、例えばそれがカメラマンでも政治家でも料理人でもミュージシャンでも、迷うことなくその世界の扉をたたける人は、すでにその才能の一部を持っているのかもしれない。最初の一歩を踏み出すことはきっと、〈なりたいモノ〉を〈なれるモノ〉に変えてくれる、一番のマジックなのだ。

 今週のYEOのヒロインは、高校3年生の上原実矩さん。すでにいくつかの作品に出演している、女優でもある。

「小さい頃からこのお仕事はしていて、コマーシャルに何本か出演させていただいていました。中学校1年生のときに『君に届け』という映画で初めて演技というものを経験して、それが強烈な印象として私の中に残り、お芝居がしたいという気持ちがだんだん強くなって、進学するときに演劇科のある今の高校を選びました」

 学校では毎日2時限、演劇関連の授業を受けてきた。3年生の今年は、卒業公演のために猛練習。仲間と一緒に朝練までこなし、つい最近、卒業公演をすませたばかりだ。

「卒業公演は2日続きで、1日目は学校内で発表する内部公演、2日目は親や友達、外部の人に見てもらう外部公演でした。1日目、内部公演が終わったとき、〝あー、これは人に見せたくないな〟。半年近くレッスンを重ねて来たのに、不完全燃焼でした。でも2日目、外部公演になったらいきなり気持ちが乗って、自分自身でもすごく楽しめたんです。やっぱり、アドレナリンて出るんだなって(笑)」

 いざ本番となるとアドレナリンが出まくって、ふだん以上の実力を発揮する。これぞ女優魂。

 今週のYEOは、女優という〈なりたいモノ〉に向かって歩き始めた、上原実矩のありのまま。金曜日まで毎日、高校3年生の夏休みを追いかけます。

  • 出演:上原実矩(うえはら みく)

    1998年11月4日東京生まれ。映画『全員、片想い』episode「MY NICHINAMEisBUTATCHI」『暗殺教室~卒業編~』『ガールズ・ステップ』TVドラマ『TBSドラマNEO放課後グルーヴ』CM『ゆうちょ銀行「ゆうちゃん・父の単身赴任」篇』『NTTdocomo「世界はひとりの複数形でできている」篇』などに出演。

    オフィシャルサイト http://www.hirata-office.jp/talent_profile/woman/miku_uehara.html

    ヘアメイク:清水明菜(magnet tokyo)

    スタイリスト:ベイカー恵利沙

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/