〈ONE&ONLY〉のものを説明するのは難しい。ストリートダンスとコンテンポラリーダンスの融合とか、映像やナレーションを使って物語を紡ぎ出すとか、映画やコミック、ゲームの要素があるとか、いくら言葉で説明しても、DAZZLEはそれを超越している。そして1度でもDAZZLEの舞台を観た人は、その場で虜になってしまう。今週のYEOはそんな魔力とも言うべき魅力を持った、ダンスカンパニーDAZZLEをご紹介。

 メンバーは8名。身長も体型も雰囲気もバラバラの彼らが、同時に踊り始めるとその途端、まるで分身の術を使っているかのように、均一に見える。

「公演前はかなりの日数、稽古に費やします。以前は深夜0時スタートで、気が付くと朝の7時、8時まで。一番多かった年は200日くらい夜中に練習していましたね」

「僕らはみんな、DAZZLEの活動以外に仕事を持っていて、ダンススクールの講師とかアーティストのバックダンサーとかやらせてもらっているんです。だから練習のあと各々仮眠をとってから仕事にでかけますけど、連チャンになるとさすがに辛くて。全員が揃うまで待っていたら、いつの間にかスタジオの床で爆睡していたこともあった(笑)」

 そんな彼らがソロのパートになると、今度は思い切り個性的になる。体型や身長やキャラクターを生かして、その人にしか出せない味を出す。

「僕らのベースはストリートダンスにあるんです。ストリートダンスが他のダンスと違うのは、その人の体型や内面をその人らしく表現することが一番素晴らしい、という理想を持っていること。太っている人は太っている人らしく、背が小さい人も、高い人も、それぞれ〝らしい〟のがカッコイイんです」

 結成は20年前。大学在学中に作ったダンスサークルが、メンバーの入れ替えはあったものの、今も続いている。彼らの舞台はダンス中心だが、オリジナルの音楽と物語性を生かしたユニークな内容で、評価は高い。海外公演や坂東玉三郎さん演出の公演など、多彩な舞台を数多く重ねて来た。

「ストリートダンスで10年舞台を続けているのは、僕らが最初じゃないかと。当初は自分たちで脚本書いて演出して、音楽、衣装、美術、照明を手配してチケットを売りました。手探りで大変だったけれど、やればできるんです。もちろん、プロモーターがついたこともあるし、バンドとコラボすることもある。ひとりでも多くの方に見て欲しいし、可能性を広げたいので、公演のスタイルにはこだわりません」

 そして今年は、結成20周年記念の公演を支えるため、さまざまな人たちが集まってきた。プロデューサー、照明家、マネジャーと、なぜか個性的な女性ばかり。彼女たちはDAZZLEの何に、魅せられたのか? 明日からのYEOを、お楽しみに!

  • 出演:DAZZLE(ダズル)

    独創性に富んだ作品を生み出し続けるダンスカンパニー。メンバーは長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文の計8人。ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させたオリジナルダンススタイルを生みだし、舞台では映像によるテキストやナレーションで物語性の強い作品を上演。映画・コミック、ゲームなどジャパニーズカルチャーの要素を積極的に取り込み、唯一無二の作品に昇華させている。『Legend Tokyo』、『Theatri’KAI』で優勝。『花と囮』は演劇祭『グリーンフェスタ』グランプリ・若手演出家コンクール優秀賞を受賞するなど演劇界からの評価も高い。韓国、ルーマニア、イランなど海外でも公演を成功させてきた。今年20周年を迎える。

    DAZZLE オフィシャルサイト http://www.dazzle-net.jp/index.html

    【公演情報】

    DAZZLE20周年記念公演
    「鱗人輪舞」 (リンド・ロンド)
    演出:長谷川達也 脚本:飯塚浩一郎 出演・振付:DAZZLE(長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文)
    10月14日(金)~23日(日)あうるすぽっと(豊島区舞台芸術交流センター)DAZZLE席8000円指定席6000円
    問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799 http://kyodotokyo.com/dazzle20

    ここ数年は「大友克洋GENGA展」(2012)への特別出演、「ASTERISK」(2013、2014・東京国際フォーラム)の演出・脚本・主演、津軽三味線や和太鼓など日本の伝統音楽との共演、坂東玉三郎演出による舞台「バラーレ」(2015)など、さまざまな挑戦をしながらダンスの未来を切り拓いてきた。20周年記念公演ではこれらの成果を生かしつつ、美しさと妖しさに満ちた新作でDAZZLEワールドへと誘う。

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://keitahaginiwa.com/