17歳の夏、何をしていただろう? 
 女優・小川あんさんを見ていて、遠い昔を思い出した。
 いや、思い出そうとして挫折した。何も憶えてなかった。
 記憶に残っているのは、まだ17歳でいることの、ひりひりするような焦燥感。
 まだ何者でもない自分が悔しくて、切なくて、もどかしくて。
 今週のYEOは、そんな若さの渦中にいる女優・小川あんさんのモノローグ。

「小さい頃から映画がすごい好きで、ドラマや映画のセリフをマネする子だったんです。今でも力強いセリフにめぐりあうとすぐに覚えて、しょっちゅう口にしているから、友だちにも呆れられます。会話とか言葉が気になるんですね。人と話すときも、いろいろ考えるクセがあって、本当に大切なことはうまく言えない。ウソとかホントの境目が気になっちゃうんです。でもお芝居だったら、ウソが無い。いえ、お芝居自体はウソかもしれないけど、こう言ったらこう返ってくるって決まっている。ストーリーはできている。それをリアルにやるっていうことにすごい興味があって」

 ちなみに、取材の合間の空き時間、彼女が真剣に読んでいたのは鷲田清一著『「聴く」ことの力 臨床哲学試論』。

「私、なんか一方的にしゃべちゃう傾向があるので、読んでみようかなって(笑)」

  • 出演:小川あん(おがわ あん)

    1998年生まれ。東京都出身。2013年から本格的に芸能活動を開始。2014年『パズル』で映画デビュー。今年だけでも東京藝術大学長編作品『結城家の眠り』、『夢見るカフェ』短編『後ろ向きの青』など出演、主演作品が次々に公開される。7月24日からTVCM「進撃のゲオキャンペーン 女子高生編」もオンエア中。

    オフィシャルサイト  http://www.tommys.co.jp/profile/ogawa_an.html

    Twitter https://twitter.com/ogawa0329an

  • 取材/文:岡本麻佑

    国立千葉大学哲学科卒。在学中からモデルとして活動した後、フリーライターに転身。以来30年、女性誌、一般誌、新聞などで執筆。俳優、タレント、アイドル、ミュージシャン、アーティスト、文化人から政治家まで、幅広いジャンルの人物インタビューを書いてきた。主な寄稿先は『éclat』『marisol』『LEE』『SPUR』『MORE』『大人の休日倶楽部』など。新書、単行本なども執筆。

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/