カンカンカンカンッ！　と小気味よい音で挽いたコーヒーをサーブし、まずは濃いぃエスプレッソをカップに。すぐさまピッチャーにミルクを注ぎ、マシンで加熱しながら攪拌して、フォームミルクとスチームミルクが混ざり合ったものを作る。やにわに左手にカップを持ち、右手でミルクピッチャーを小刻みに動かしながら、すいーっとミルクを注ぎ込む。ミルクの泡とコーヒーの色がさざ波のようになったところを、くいっくいっと仕上げていくと、何重にも重なるキレイなハートが浮かび上がった。ラテアートの完成だ。所要時間は約２分。繊細な模様の美しさに、思わず「わーっ」と声を上げてしまう。
　作ってくれたのはこの人、大田悠介さん。六本木ミッドタウンのはす向かい、「Mercedes-Benz Connection」内にあるカフェ『ＤＯＷＮＳＴＡＩＲＳ　ＣＯＦＦＥＥ』のバリスタだ。

「2014年の10月にアメリカのオレゴン州ポートランドで開かれた『コーヒーフェスト　ラテアート　ワールドチャンピオンシップ』というのがあって、そこで優勝しました！」

　え！　それって、すごくない？　

「ほとんど毎日ここで働いているので、良かったら飲みに来て下さい。僕、フリーのバリスタで、ここではバイトで、ふだん遅番でいますけど････」

　世界チャンピオンのアルバイター！　なんかちょっと、面白そう！