「どう見られているか」と同時に、彼女は根本的な身体のことを考え始めた。これも仕事が教えてくれたのだろう。

「『アンチエイジング・フードマイスター』という資格をとろうと勉強しているんです」

 まだアンチエイジングっていう年齢じゃないでしょう、と誰が見ても思うだろうが、彼女は先々の自分のことも考え始めたのである。

「正直なところ、今までは『何がオーガニックよ』と思っていたところもあったんです。でも、ちょっと勉強してみると、これからの自分の身体が豊かになるなら、1から10まで完璧じゃなくても、オーガニックなものをなるべく食べたほうがいいんだなと思うようになりました」

 先日はマネージャーさんのはからいで、千葉の富津まで畑を見に行った。

「駅前にコンビニもないようなところなんですが、畑に行って、そこに成っている野菜とふれあうと、子ども心に戻ったような気持ちになれました。特別に許可をもらってその場で茄子をかじりました。ちょっと青臭かったけど、美味しかったです。こんなに新鮮な野菜を毎日食べられたらいいのにと思いました」

 緑に囲まれると心が穏やかになる、と、その匂いを思い出すような顔で、
笑った。

  • 出演:高原愛

    1990年大阪府生まれ。関西大学化学生命工学部卒。2012年に上京、本格的なモデルの仕事をスタートし、2014年に第22代トリンプ・イメージガールに選ばれる。明るい印象で雑誌やショー、広告へと仕事の場を広げている。

    公式ホームページ  http://incent.jp/idea/model/takahara/index.html
    ブログ http://ameblo.jp/takahara-ai/

  • 取材/文:森 綾

    1964年大阪生まれ。ラジオDJ、スポーツニッポン文化部記者、FM802編成部を経て、92年に上京、フリーランスに。雑誌、新聞を中心に発表した2000人以上のインタビュー歴をもち、構成したタレント本も多数。
    自著には女性の生き方をテーマにしたものを中心に『キティの涙』(集英社)、『マルイチ』(マガジンハウス)、『大阪の女はえらい』(光文社知恵の森文庫)など多数。映画『ハンティングパーティー』のノベライズ、映画『音楽人』の原作WEB小説などノンフィクション、フィクションを問わず執筆する。
    公式ホームページ http://moriaya.jimdo.com/

  • 撮影:萩庭桂太

    1966年東京生まれ。東京写真専門学校卒業後、フリーランス・カメラマンとして活動開始。
    雑誌、広告、CDジャケット、カレンダー、WEB、等幅広いメディアで活動中。
    ポートレート撮影を中心に仕事のジャンルは多岐にわたる。
    「写真家」ではなく「写真屋」、作家ではなく職人であることをポリシーとしている。
    雑誌は週刊文春など週刊誌のグラビア撮影を始め、幅広い世代の女性ファッション誌の表紙を撮影中。
    http://www.haginiwa.com/