満員の店内の前のベンチに座っていると、長身のモデルのような女性と美人マネージャーに囲まれてご機嫌の萩庭桂太が目の前を通り過ぎた。もう帰ろうかと思ったが、一応、声をかけた。

「おはようございます」

 3人は立ち止まった。カメラを首にかけた萩庭桂太がいそいそ紹介してくれた。「ああ、おつかれさまです。こちら、今日撮影する中別府葵さんです」

 パンッと若いオーラが飛び散って眩しい中別府葵さんを、私は見上げた。

「こんにちは。よろしくお願いしまーす」

 元気な声で挨拶された。

 いつもそうなのだが、自分の心身や仕事の状況がどうあれ、美しい人、何かを発している人は、すべての陰鬱なものを吹っ飛ばして、そこに現れてくれる。ああ、オープンカフェという場所が似合うなあ。

 真夏にはちょっと早いが、ひまわりみたいな人。

 私は中別府葵という人の笑顔に、いっぺんに明るくなれたのだった。

  • 出演:中別府葵

    1990年熊本県生まれ。血液型A型。172センチの長身で演技にモデルにと活躍する女優。08年にテレビ東京のドラマ24「ウォーキン☆バタフライ」で初主演し、その存在感が話題を集める。その後、テレビや映画に出演、今年3~4月、日比谷・シアタークリエなどで上演された白井晃演出『幻蝶』では、ストリッパー役を好演した。9月には東京・天王洲の銀河劇場『ハイスクール歌劇団☆男組』にも出演する。
    http://horipro.co.jp/talent/PF097/

  • 取材・文:森 綾

    1964年8月21日大阪市生まれ。スポニチ大阪文化部記者、FM802開局時の編成部員を経て、92年に上京後、現在に至るまで1200人以上の有名人のインタビューを手がける。自著には女性の生き方についてのノンフィクションが多い。『キティの涙』(集英社)の台湾版は『KITTY的眼涙』(布克文化)の書名で現在ベストセラー中。
    http://blogs.yahoo.co.jp/dtjwy810

撮影:萩庭桂太